「マイオピン(低濃度アトロピン)」は、眼軸長の進展を抑制し、近視進行を軽減、最終的な近視の重症化を抑えます。
アトロピン1%点眼液の近視進行は1960年代から知られており、アトロピン1%点眼液を投与された学童の群は、投与無しの学童の群に比べて、近視が進行しなかったことが確認されています。
副作用について
一方、アトロピン1%は下記のような副作用をもたらします。
- 瞳孔が開き続けることによるまぶしさと強い光による不快感や目の痛み
- 遠近調節機能(手元を見る作業)が低下し、近くの物がぼやけて見え、読み書き等の近くを見る必要がある作業が困難になる
- アレルギー性結膜炎及び皮膚炎
海外の研究報告
シンガポール国立眼科センター及びシンガポール眼科研究所で実施された臨床試験によりますと、低濃度のアトロピン(0.01%)は2年間に亘り近視の進行を50~60%遅らせ、副作用は非常に軽微であることが証明されています。
- アレルギー性結膜炎及び皮膚炎の報告はありませんでした。
- 眼圧に影響を与えないとの報告でした。
- 白内障を形成するとの報告はありませんでした。
- 点眼終了後も目の遠近調節機能の低下、また瞳孔がひらき続けてしまうという報告はありませんでした。
- 電気生理学上、網膜機能に影響を与えるという報告はありませんでした。
- 出典
- Chia A, Lu QS, Tan .Five-Year Clinical Trial on Atropine for the Treatment of Myopia 2: Myopia Control with Atropine 0.01% Eyedrops Ophthalmology. 2016 Feb;123(2):391-9
マイオピンの特徴
上記の研究報告等から、副作用が非常に少ない近視進行抑制薬と言われています。
- 近視の進行を平均60%軽減させると言われています。
- 日中の光のまぶしさに影響を与えないと言われております。
- 目の遠近調節機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えないと言われております。
- 毎日必ず就寝前に1滴点眼する治療法です。
- 各容器(1本・5ml)は両眼用に1ヶ月間の使い切りになっております。
- 本製品はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています。
費用
マイオピン処方は自費診療となります。
(健康保険や医療費助成制度は適応されません。)
検査・処方料
眼軸長検査あり | 3,300円(税込) |
(受診頻度:初回・1ヶ月後・3ヶ月毎)
マイオピン0.01% | 1本3,630円 (税込) |
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※初回保険診療で「近視」を確認させていただいてから、後日処方となりますので、保険証や医療証をお持ちください。
Q&A
Q:副作用はありますか?
A:主な副作用は、瞳孔が若干広がることによる「眩しさ」です。中学生の方が気になるようです。1ヶ月ほどで慣れる方も多いですが、起床後に眩しさを感じる場合は、点眼時間を就寝直前から夕方にすると軽減されます。
Q:眼鏡は使用できますか?
A:特に問題なく使用できます。
Q:コンタクトレンズは使用できますか?
A:特に問題なく使用できます。マイオピンの点眼は裸眼の時に行いましょう。
Q:効果がない場合はありますか?
A:マイオピンは、9%の方に無効だったという海外の報告があります。点眼後6か月経過しても、近視が進み続ける場合、オルソケラトロジー併用の検討が必要となります。
Q:どれくらい続けますか?
A:原則2年以上の継続をお勧めします。特に2年目の効果が高いようです。2年後の継続に関しては、個別相談となります。
Q:中止後に近視が進むことはありますか?
A:マイオピン中止後、使わなかった方と比べて、進みやすくなるという事はありません。
Q:12歳以上ですが、使用できますか?
A:処方可能です。12歳〜16歳でも、近視は進行します。
点眼後8時間程度は瞳孔に影響があります。中学生以降ですと、夜に点眼してから朝起きるまでの時間が短くなると、朝のうちは近くが見づらい・まぶしいといった症状を感じることもあります。点眼するタイミングを夕方にすることをお勧めしています。
Q:6歳未満ですが、使用できますか?
A:処方可能です。2〜3歳から近視のお子さんもいます。元々アトロピンは1歳くらいでも検査などで使用する薬なので、過度に恐れる必要はありません。
Q:気をつけることを教えて下さい。
A:どの点眼でも共通ですが、開栓後1か月で廃棄してください。マイオピンの場合、1日1回なので、1か月経過後も残ります。点眼の中に防腐剤が入っていますが、睫毛などが触れて徐々に汚染していきます。